「親子で学ぶ理系キャリア~リケジョの未来をのぞいてみよう~」開催しました
2017年2月20日
2017年2月5日(日)に札幌市男女共同参画センターと共催で「親子で学ぶ理系キャリア~リケジョの未来をのぞいてみよう~」を開催しました。
女子中高生22名、大人18名の参加がありました。
以下、講演の内容です。
繁富(栗林)香織さん
(北海道大学 高等教育機構 特任准教授)
みんなとともに「カッコかわいい理系女性を目指して」これが私のテーマです。
札幌出身で高校は札幌開成高校だった私は、自由な校風の学校で出会った仲間、そして海外で長く過ごした大学の時に出会った仲間を通して、理系っておもしろいなぁ~と思って現在に至っています。両親はバリバリの文系だったため、影響は受けていません。
大学は室蘭工業大学で機械工学科を専攻し、アメリカへ1年留学しました。その後、北海道大学で修士課程を経て、博士課程でイギリス、ハリーポッターの舞台になったオックスフォード大学に留学しました。ここの大学は、食堂で食事をする時、常に集まっているお友達が、自分と専門外のお友達、色々な国々のお友達、そして、色々な学年のお友達、このような人々と交流することで、コミュニケーション能力がつくのと、特別な大学だったので、お手伝いさんがつく、というのがおもしろかったです。
今の私があるのは、社会のニーズや親からの要望よりも、とにかく「楽しいことが好き」という所から来ています。
子供の頃は、バレエやバトンをやったりと”The女の子”といった感じで、高校生の時は書道部で、決して理系ではなく、文系のことも好きでした。中学生の時、毛利さんが道内初の宇宙飛行士として、宇宙へ飛び立ったのがきっかけで、毛利さんに憧れ、私も宇宙飛行士になりたいなぁ~っというのが、理系の始まりだったのではと思います。
人生山あり谷あり、とにかく楽しくやっていくことがポイントです。
大学進学の際、1年浪人しても北海道大学に入れず、2浪することも考えました。しかし、仮面浪人覚悟で、室蘭工業大学の機械工学科へ進学してみると、大勢の素晴らしい先生方との出会い、また、入学後、色々な機械の勉強を行うことが出来て、授業がとてもおもしろかったです。
私は現在、再生医療の研究を行っているのですが、飛行機が飛んだ時に出来る渦と、我々の血管の中で起こる病気が、血液の渦によって起こるっという渦の共通点が、「機械の中で起こっていることが、我々の体の中でも起きている」ということで興味を持ちました。
大学生の時は、オレゴン工科大学へ留学したのですが、この時点で、英語は全く話せませんでした。1年間に1人だけ、成績が良いと行けるというお得感があったため行きました。
室蘭工業大学では、ラワンブキがどうやって広がるのか?という研究を行っていたのですが、宇宙の展開構造物に似ているなぁ~というので利用しました。宇宙に広がるアンテナは、ロケットの中で小さくたたんで持って行って、その後、宇宙で展開しなければなりません。それが折りたたみの研究となっています。
血管の中でも、狭窄動脈瘤や血管が縮まってしまう病気の時に、血管を治すステントグラフトというものがあるのですが、折り紙のように小さくたたんで、血管の中に入って行って、病気の所で広げます。これは宇宙での技術の話が、血管への応用になっています。折り紙の利点の1つに、折ると平面から立体になるということがあるのですが、これを実際の細胞で応用すると、人工血管みたいなチューブを作ることができます。折り紙を医療へ生かそう!日本初で成功できたらと思います。
私の1日は、朝9頃に出勤して、デスクワークの後、白衣に身を包んで細胞を扱う研究を行います。お昼は研究室の人々と楽しく食事します。その他の仕事としては、研究成果を学会で発表したり、論文を書いたり、講演会に出席したりです。一番重要なのは、研究費を得るための書類を書くことです。
最後のメッセージとして…
北海道から世界を目指すのは、一般的なことになってきています。私自身、特別な人として、ここに育ったものではないので、「小さくならないで、他の人と比較しないで、前進していきましょう!」これは常に、今でも自分に言い聞かせています。世界は広いので、色々な視野を持ってください。みんなでチャンスをつかみましょう。
理系として大切なことは、計画を立てる、論理的に考える、ここがしっかりしてくると、男性と対等に戦うことができます。
才善 伊津美さん
(一級建築士事務所 atelierQ (アトリエキュー) 、一級建築士)
札幌で設計事務所をしています、一級建築士の才善です。
みなさんは、建築士の仕事はどんなことをすると思っていますか?建物をデザインするだけだと思っていませんか?実は、建物のデザインだけではないのです。
ここで1つの住宅を建てるまでを見てみましょう。まずは、建物を建てたいお客様と会って、どのような建物にしたいのか?イメージや予算をヒアリングします。そのイメージをもとに、図面を起こす作業をします。”CAD”というソフトで図面を書いています。図面だけでは分かりにくい場合は、模型を作ってみたりとか、CGを作ったり、スケッチをしたりして、お客様に大まかな完成像を伝えていきます。この打ち合わせを何度も行い、デザインを決めていきます。この作業は短くて2~3か月かかります。長くて1年くらいかかる時もあります。
その後、大まかな構造を決定していきます。場合によっては、自分で構造計算を行うけれども、この構造計算には、数学とか物理の考え方が必要となってきます。そして次は、細かい材料や内装を決める作業に入っていきますが、柱はどんな材料を使うとか、壁はどんな色にするとか、お風呂はどんなやつにしようかなとか、選んでいきます。細かいものは、ドアのノブを選んだりとか、鍵の穴まで選んでいかなければなりません。
何を決めるにも予算があるので、この予算の調整が一番大事な大変な作業となります。予算の調整も、何度も何度も繰り返して、予算内でいかにお客様のイメージを具体化できるかが、建築士の見せ所です。見積書は、1つの住宅に対して何十ページもあるのですが、それを1つ1つ細かくチェックしていって、だいたい予算より高く見積もられてくるので、安くなるように、材料を調整したりとかという作業が出てきます。
いよいよ実際の工事に入っていきます。建物自体は、大工さんが作ってくれるのですが、図面通りに行われているかのチェックは、自分がしなくてはいけません。設計はデザインだけでなく、耐震などの安全性や、電気・空調となどの設備の設計もします。
建物を建てる以外に事務所を出入りしているので、日々、お金のやりくりとか、営業もしなくてはいけません。
今は個人で仕事をしていますが、以前、設計事務所に勤めていた時は、仕事時間を自由に調整できなかったので、忙しい時は、もう毎晩終電、また連日徹夜で作業をすることもありました。今でいうと、ブラック企業に勤めていたのです(笑)でも、その分、デザインしたものが形になって、お客様に喜んでもらえた時は、とてもうれしいし、とても感動します。
私は住宅の他に、美容室の設計、サッポロファクトリーのショップ、三井アウトレットパークに入っている焼きそば屋さん、あとラウンジなどがあります。
この仕事は、大変であればあるほど、感動が大きいと思っています。私はこの仕事に誇りを持っていますし、やりがいがあると思っています。
次に、私がこの仕事についた経緯をお話しします。
中学生・高校生の時は、宇宙飛行士になりたかったです。その時一番好きな科目は、体育。数学もまあまあ好きでしたが、国語が苦手という状態でした。そんな私はあまり迷うことなく、理系に進んでしまいました。当時、理系の女子はぜんぜん少なく、仲の良い友達とかも文系に進んでしまったので、男子ばっかりのクラスで、ちょっと寂しいと思いながら過ごしていました。
そして、高校2年の頃でしょうか、本格的に大学を受験することになって、宇宙飛行士について調べてみました。すると、「宇宙飛行士になる人はエリート中のエリートです」とありました。その時、私の実力は、自分でだいたいわかっていたので、難しいかなぁ~と。もう何十年も前の募集要項には、「視力が1.0ないといけない」と書いてあって、目が悪かった私は、それでちょっと諦めようかなぁ~と思ってしまいました。
次に、自分が何をしたいかなぁ~と考えた時に、私は旅行が好きで、色々な土地で、色々な建物を見ているうちに、自分でもこういう建物を作ってみたいなぁ~と思えるようになって、そして、建築の道に進むことを決めました。
実は、進路で悩んでいた時に、担任の先生には、「あなたは体育が得意なのだから、体育大学へ行きなさい」と言われました。だけど私は、得意なことと、仕事としてやりたいことは違うと考えました。もちろん、得意なことを仕事にするのも良いのだけど、私の場合は、スポーツを仕事にしてしまうと、スポーツ自体が楽しくなくなってしまうのかなぁ~と思いました。その考え方は間違っていなくて、今では、スポーツは趣味として楽しんでいます。ですので、得意なこと=仕事でなくてもいいのかなぁ~と思っています。
何年も仕事を続けていれば、その仕事が得意になってくるものです。それより、どんな仕事をしたいのかなぁ~という方が重要だと、私は思います。自分は理系だからといって、理系の職種から仕事を選ぶのではなくて、やっぱり、やりたい仕事がこれだから、それが理系がだったら理系に進む。そういうふうに考えてもいいのではと思います。
夢を持ってやりたいものが見つかれば、どんな困難でも乗り越えられると思います。
みなさんには、まだまだ長い人生がありますので、本とかたくさん読んで、音楽もたくさん聞いて、色々なものを吸収して選択肢を広げ、色々なものにチャレンジしてほしいと思っています。
それで、一生懸命に進んだ目標が、途中で変わっても良いと思います。実際に、私と同じ大学で建築学科を卒業した人でも、半分くらいは、建築の仕事はしていません。大学院まで卒業しても、途中で銀行員になった人もいます。なので、目の前にある事柄を一生懸命に行い、前に進んで行ってほしいと思います。ちなみに、私の次の目標は、月に家を建てることです(笑)
みなさんも夢に向かってがんばって下さい!
聶 雪静(じょう せつせい)さん
(株式会社ダイナックス 開発本部 材料開発部 材料開発チーム)
私は中国出身で、2010年10月に北大に留学するために来ました。2013年に修士課程を終了後、ダイナックスに入社して今年で4年目になります。配属部署は材料開発で、今行っている仕事内容は、新規摩擦材の開発、新規商品の企画・開発、不具合品の原因調査などです。
(株)ダイナックスは自動車部品を製造している会社です。製造している物は、車の中のオートマチックトランスミッションの中の、ディスククラッチです。
エンジンのとなりに付いているのが、オートマチックトランスミッションです。そのクラッチバックの中に入っているのが、ディスククラッチで、これがわが社の主力製品です。ディスククラッチのディスクの上にある摩擦材が、最も重要なものです。私が今開発しているのも、この摩擦材です。
摩擦材は、紙に特殊な物体とかを入れて、そして、樹脂の中に浸み込んで、熱で固めて作っています。以前はアスベストを使うことが多かったのですが、現在はいっさい使っていなくて、環境にやさしいです。十分な耐熱性・耐久性があるので、300度以上の環境でも、20万キロメートルの走行が可能です。製造されている部品は、様々な車に使われています。日本や海外の高級車、トラックの中にも使用されています。これは世界初のことです。
会社は1973年に設立、その時従業員は4人で、売り上げは0円という厳しい状況でした。その状況は4年間続いたそうです。1983年に摩擦材を開発することに成功して、会社が順調になりました。現在の従業員は1500人で、売り上げは615億円になっております。製造している物に対して、第1回ものづくり日本大賞経済産業大臣賞、製品を作っている機械に対して、第3回ものづくり日本大賞優秀賞を受賞しています。ヨーロッパのドイツ、アメリカ、メキシコ、中国、ハンガリー、タイといった色々な所に、生産拠点・営業拠点を持っています。その中で最も新しいのはハンガリーです。
中学から高校へ進学する時、中国の場合は、成績で行く学校がほぼ決まっているので、そんなに悩みませんでした。もし、今こういう質問をされたら、一番に考えるのは、家に近い学校、学校に優しい先生がいるか、雰囲気が明るくて、優しい先輩がいっぱいいる学校、親友と離れない学校です。中国にいた時、親友と別れて別々の学校になったので、ちょっと悔しいなぁ~と思っていました。
高校から大学に進学する時は、周りの色々な人に聞きました。中国では、有名な大学に入ることは、就職の時に役立つので、周りの先生、親とかは、有名な大学、就きたい職業に関係のある大学に進学して下さい、とアドバイスを頂きました。
私が今でも考えているのは、重要なことは、自分が学びたいことを考えて、そして、大学の環境とか雰囲気を考えて選択したら良いのではと思います。でも、進学する時は、親とか先生、クラスメイト、色々な人の意見を聞いた方が良いのではと思います。本当に気になることがあったら、足を運んで、自分の目で見て確かめてみることも必要だと思います。
北大から修士修了の時は、人生で一番気になる時でした。本当に今後どうしたら良いのか?を考えて、最初は、博士課程に進学した方が良いのでは、と考えたけれど、あの時の自分は、もう学校の生活はいっぱい体験したので、外の世界も見てみたいと思って、その道を諦めました。それでどこへ行ったら良いのか?私は旅行が好きなので、バイトをして旅行をしたら良いのではと思って親に相談した所、大反対されました。自分は大人なので、親には心配させない責任があるので、この道を諦めました。帰国したら、周りの環境にもすぐ慣れるし、親も安心できるので、もう中国に戻った方が良いかもしれないと思いました。でも、日本にいた2年間で、本当に日本のことが好きになって、しばらく日本にいたいなぁ~と思いました。最後、色々と考えて、日本に就職することに決めました。
みなさんにとって先の話ですが、どんな仕事をするのか?を考えた時、私は自分に3つの質問をしました。「自分が一番好きなことは何なのか?」私は博士課程に進学することは諦めたけれど、環境とかが大好きで、研究とか開発とかがいいのではと思いました。「自分が一番上手なことは何か?」私は上手ではないのですが、絵を描くとか、静かな考え方とか、ものを作るとかが、ちょっと上手かなぁ~と思って、ものづくりの会社が良いかもしれないと思いました。最後は、「自分が一番好きな環境は何か?」日本に残りたいと考えた時、一番良い所は北海道と思って、北海道の会社を探したいなぁ~と思いました。この3つの質問から、会社とか、職業とかを決めて、ダイナックスに応募することになりました。そして、運よくダイナックスに入りました。
社会人になる準備として何をしたら良いのか?まずは、「早寝早起き」。社会人になると、月曜日から金曜日まで、ずっと早起きしなければならないので、もし今だらだらの生活をしていたら、すぐに止めて、充実した生活をして下さい。あと「欲しいものリストを作る」これは、モチベーションにつなげるためです。何か目標を持って、その目標に向けて頑張ることは楽しいと思います。「できるだけ実家に帰って親に会う」社会人になると、暇な時間が少なくなるので、親に会える機会も少なくなります。私は海外なので年に2回程です。時間があったら、実家に帰って親とゆっくり過ごして下さい。
入社してから、ある日の1日です。
会社は8:30からですけれど、ちょっと早めの8:00に行って、一日の計画を見ます。朝は、紙を作ったり、ディスクサンプルを作ったり、また、実験室に行って手順通りに作業しているのか確認します。12:20~13:05までランチタイム、食堂で仲間とランチを楽しみます。社員食堂では、310円とすごい安い値段で、美味しい定食が食べられます。午後になると、午前中に作ったサンプルの性能を確認して、お客さんの仕様に合っているか確認します。午後3時に休憩があります。休憩後、原材料の仕入れの打ち合わせを行います。最後に、今日一日に作ったサンプルの性能、実験結果のレポートを書いて、次の業務の計画を立てます。会社は夜5:30までで、家に着くのは夜6:00です。
会社には色々な人材育成の教育があります。
外国人の社員のための日本語クラス、自動車に関する基本知識の勉強会、問題改善の訓練、現場の研修、安全教育などがあります。休みの時の会社のイベントとして、焼き肉、ビンゴ大会、盆踊りなど、また、週末は同期と一緒に飲み会に行ったりと、充実した毎日を過ごしています。
ご清聴ありがとうございました
三栖 茉奈美(みす まなみ)さん
(株式会社アミノアップ化学 事業推進部 学術開発室)
みなさんこんにちは、アミノアップ化学の三栖と申します。
今日、私はみなさんに、私の遍歴も併せて、今の私の仕事・職種についてお話しします。学生の時は全く知らなく、社会人になってから出会ったものなので、こんな働き方もあるのだなぁ~と、中学生・高校生の時にちょっとでも知ってもらえたらと思います。
今、私が働いている会社は(株)アミノアップ化学です。64名の社員で、研究・開発から、製造・営業まで、みんなでやっている会社です。みんなオールマイティーに働いています。
何の会社かというと、栄養の補助食品、サプリメントを作っている会社です。北海道の原料もありまして、しそ、アスパラ…..。例えば、チョコレートに入っている、ポリフェノールは、ライチから抽出してます。これを消費者庁の認可で機能性表示、「疲れやすい」、「次の日楽になる」といった機能がありますが、こういうお墨付きを頂いて、材料を作り、お菓子メーカとかに原料を卸します。その後、それを含めた製品を作ってもらうという原料のメーカーです。
私は今、札幌の会社で働いていますが、転職をしていて、昨年の6月、札幌に帰ってきました。社会人になって10年目なのですが、始めの就職では東京にいました。その後、愛知に転職して働いていました。どんな会社で働いていたかというと、愛知の会社(メーカー)では、車のトランスミッション(変速機)、エンジンの開発に携わっていました。東京では、メーカーから仕事をもらって、仕事をする会社にいましたが、お客様は、医療機器(内視鏡、カメラなど)を作っている会社、家電系(ドライヤー、冷蔵庫など)を作っている会社、太陽光パネルのシステムを作っている会社から、仕事をもらって仕事をしていました。
私の働いてきた業界を見てみると、すごいバラバラです。すごくフラフラした人に見えると思いますが、私は、この中である同じ仕事をしてきました。それは何かというと、私は、特許の仕事をすっとしていました。
特許って何?と思うかもしれませんが、例えば、エンジン。色々な人たちが燃費を下に、1グラムでも部品を軽くしようと設計をしています。その中で、ここを削れば性能が良くなるし軽くなる。強度も強いと考えた時、それをそのまま世の中に出してしまうと、競合メーカー(日本にも、世界にもたくさんあります)の人たちが、エンジンを開けて、そのパーツを見てまねをしてしまいます。そうすると、せっかくその人が5年かけて完成したものが、一瞬でバレてしまいます。人間は怠けやすいので、「だったら誰かが開発するのを待っていよう」ということになります。これだと、産業が全く進まなくなってしまうので、特許制度というものが世界各国にあります。
発明をした人が、きちんと特許庁に届けることで、特許権をもらえると、20年間独占してその技術を使う事ができます。もし誰かがマネをしたら、「それうちの特許なんですけれど」と侵害していると、訴えることができます。特許になるかどうか調べる・考える、どんなにすごい技術なのかということを特許庁に伝える、これが特許の仕事です。
私は1つ前の会社で、車のエンジン、トランスミッション(変速機)の開発の人と、「次に乗せる車にこんな改良をしたんだけど」いう相談を受けて、それが特許になるのかどうか?ということを考える。もしなりそうだったら、出願するという仕事をしていました。その前の会社でも、メーカーさんから仕事をもらって、「これって特許になりそうかなぁ~」と相談を受けて、それを答える。出願する。という仕事をずっとしていました。
なので、私は理系でありながら、特許というのは、”特許法”という法律の下に成り立っている制度なので、なんとなく法学部というイメージが強いと思うのですが、法律を使った仕事をしています。
特許の業界はちょっと特殊で、法律なんだけれど、働いている人は、ほぼほぼ理系の人です。なんでかというと、技術がわからないと、何がすごいのかわからない。何がすごいのかがわからないと、特許庁にも伝えられない。ほぼみな理系のひとは、特許については、働きながら学んだり、社会人になってから、弁理士(特許の弁護士さんみたいな人)になる勉強をしたりしてます。
けっこう女性の多い職場です。半分くらいは女性で、専門的な特許の知識、技術があれば大丈夫です。前にいた会社は、30代くらいの人が多く、出産してまた戻ってくるひともかなりいました。
私は、この特許の仕事を今も行っています。64名の会社で小さな会社なのですが、私が入社した時は、特許を専門にやっている人はいませんでした。今までは、口の中には絶対に入らない、機械系の仕事をしていましたが、今はサプルメントの仕事をしています。
私はもともと機械系ではなく、大学では理学部で高分子をやっていました。高分子というと、タンパク質、からだの生化学。一応ベーシックには勉強していたので、「あぁ~習ったかも」と思い出せるほどの知識はありました。その前の会社、機械系はもう全く知識がありませんでした。本当に高校の物理くらいの知識しかなかったのですが、高校の時、物理、化学をやっていたので、その知識から更に勉強して、詳細を学んでいきました。
もう1つ、臨床試験というものがあります。今はサプリメントの会社で働いているので、こちらの仕事もしています。これはどんな仕事なのかというと、サプリメントを飲んで、「からだに効く」というのは、口で言ってもぜんぜん怪しいではないですか?「本当に効くの?」と思います。人の脳はすごくだまされやすいので、ただのアメでも効いた気になります。でも、そうではなく、「かだらに効いているんだ」ということをどういう風に証明するのか?例えば、50人くらいの人に試しに飲んでもらい、その時に、ただ単に質問票だけで聞くのではなく、からだの中でどのような反応が起きているのか?どういう血液の物質を調べれば完璧に証明が出来るのか?という試験の設計をしています。
私がこの仕事についたのも、もともと特許の仕事は知りませんでした。大学でもあったのですが、ぜんぜん楽しくなかったので、覚えていませんでした。
就職する時も、私は新しいことがすごく好きで…..。高校の時も物理、化学がすごく好きで、こんなことがあるんだぁ~と思ってずっと勉強していました。私は学ぶことがすごく好きです。大学でも、色々な幅広い授業を受けることが出来て楽しかったです。これからどうしようと考えた時、研究者だと1つのことしか知れないので、もう少し楽しく生きれないかなぁ~と思っていました。たまたま1つ目の仕事が、語学の会社で働いていたのですが、半年くらいでつぶれてしまいました。あぁ~困ったなぁ~と思っていた時、自分は化学・産業とかが好きで、技術にふれたいと思いました。色々と転職先を探していた時、特許という仕事がありました。技術の最先端を知ることができ、つねに研究者と対等に話をすることができる。これはなんて楽しい仕事なんだと思いました。その出会いがなかったら、私は今、どうしていたかわからないです。そういう偶然の出会いで、私は自分の天職となる仕事をしています。
今回、中高生のみなさんが、色々な職業を知れる場はすごい素敵だなぁ~と思っています。この場に限らず、みなさん、色々な社会人。1つの会社にも色々な仕事があると思うので、色々な情報にふれてみたり、積極的にイベントに参加したらいいのではと思います。
後半:フロアディスカッションの様子
Q:理系で女性のニーズが高まっているのはなぜですか?
A:女性の能力が、まだうまく社会に還元しきれていないのが現状なので、どの分野でもニーズが高まっています。中でも、理系分野・科学技術分野というのは、女性が働いている割合が少ないです。一方で、理系分野の人の能力は、半分は女性が持っているからです。
Q:いつ頃から進路について考えましたか?
A:理系か文系かは、高校でクラス分けをする時に決めました。その後は、高校3年生の時、大学でどういう勉強がしたいのかを考えて決めました。何年後、どういうことがやりたいのか?という、少し前を見据えた計画を立てたら良いのではと言えます。
A:高校2年の時です。
A:進路どうこうではなくて、数学とか理科が好きでおもしろかったので、理系に進みました。進路を決めたのは、高校3年生の頃、受験どうする?という時です。
Q:どんな勉強をしておいたら良いですか?
A:全てにおいて満遍なくすることです。時間のあるうちに、本をたくさん読んでおいた方が良いですよ。
A:理系とか文系とかのカベを作らないで、色々なものにふれてみるのが良いですね。
A:色々な新しいことを経験することが大事です。
Q:理系大学で男性が多いことについて、メリット・デメリット?
A:女性は女性らしく(意識して男性に合わせる必要はない)で良いと思います。
ただたまに、「先生に可愛がられているのでは?」と妬まられたことはありましたね。でも、助けてくれる、男性の先生もいるので、あまり気にしない方が良いです。
A:女性が少人数で仲が良かったです。いわゆる、女社会というものがなくて、お互い意見も、相手に気兼ねすることなく言えたので、すごくやりやすかったです。
Q:会社の人材育成について
A:語学教育(中国語・日本語・英語)、現場研修、新人に対して、自動車に関する基本知識の教育、問題解決の訓練、安全教育です。
Q:留学する人へのアドバイス、英語について
A:日本語で考えないで、直接、英語で考えることを思い出しながら話すと、ダイレクトで英語で話せるスイッチが出来ます。相手が話していることを聞き取るのはとても難しいので、まずは、自分から質問するのがおすすめですね。
A:論文とか、書面で読んでいるだけでも、ひきだしが出来ます。
Q:趣味とかは何ですか?
A:スノーボードが得意なので、雪が降ると午前中はスキー場で、午後から仕事をしています。夏はゴルフにも行きます。スポーツをしていると、色々な人たちと知り合って、それが仕事につながることもあります。
A:絵を描くことが好きなので、週に1日は描いています。
A:料理教室が大好きです。あと、飲み友達を作って、色々な人たちと交流してます。
Q:転職にあたって、資格のようなものを必要としましたか?
A:資格よりも経歴。自分が前の会社でなにをやったか?です。転職する時は、自分がどうして転職したいのか?そこが重要ですね。
Q:採用するとしたら、どういう人を選びますか?
A:まずは、一生懸命やっている人ですね。すごい能力が高いというよりも、人としてどうなのか?を見ます。
Q:一級建築士になりたいのですが、デザイン科と工業科のどちらが良いと思いますか?
A:一番手っ取り早いのは、工業科ですが、どちらに進んでも大丈夫です。ただ、どちらを重点に考えているかで、決めたら良いですね。
Q:中学生なのですが、自分の進む道をどのようにして決めたら良いですか?
A:今決めなくても大丈夫です。どんなことが好きなのか?ということを考えて下さい。
Q:高校1年生なのですが、色々なことに興味があって困っているのですが、どうやって選んだらよいですか?
A:大学生から大人になる段階で、自分の武器を見つけたら良いですね。そうすると、それが自信になって、世界が広がっていきます。
A:一歩深く入ってみないと、わからない部分もあるので、まだ決めるのに時間もあるから、大学に足を踏み入れてからでも遅くないですね。