9月26日(金)学士会館にて、七大学男女共同参画・女性研究者支援部門合同シンポジウムが開催され、北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学の総長が揃い、男女共同参画社会の実現に向けて『共同宣言』を発表しました。このシンポジウムは、学士会の呼びかけのもとに七大学の男女共同参画推進・女性研究者支援に携わる組織・部門の共催で行われました。文部科学省・科学技術振興機構・内閣府男女共同参画局の後援、150名を超える参加者を得て、大きな盛り上がりを見せたシンポジウム会場では、各大学における女性研究者支援を通してどのように男女共同参画社会の実現に寄与していけるかを、わが国の教育・研究機関の主幹を自負する七大学の総長が壇上にずらりと並び、パネルディスカッション形式で討論した後、共同宣言が採択されました。
(左上)北大での取り組みを紹介する有賀女性研究者支援室長(右上)基調講演する北澤JST理事長。ポジティブアクション北大方式に言及。
(左上)佐伯総長 (右上)会場のようす
本学を含む七大学が輩出する卒業生達は産官学の全分野にわたって活躍しており、各同窓会や学士会を通じて連携しながら、日本社会を主導しているといっても過言ではありません。今回の画期的なイベントは日本社会全体の男女共同参画実現に大きな影響をもたらすことが期待されます。
共同宣言を採択した七大学総長共同宣言の全文は、下記の通り。
U7 “男女共同参画”に係る共同宣言
我々は、アカデミアの中核的総合拠点として、世界をリードする創造性に満ちた学術研究の達成と、広い視野と多様な視点で課題を解決する国際性豊かな人材の育成により、真に平等で豊かな、そして未来へ永続する社会の構築に貢献する責務を負っている。
この21世紀において、我々アカデミアの最重要課題は、人類が直面する地球環境・エネルギー資源・民族・社会格差等の問題の解決と持続可能な社会への転換である。この歴史的転換点において、国籍・人種・性別・年齢等を超えた、多様で優秀な人材の参画と活躍が必要である。我が国における高等教育、学術・技術の発展は、長らく男性が主たる牽引役を担ってきたが、前述の最重要課題の解決、および最先端研究・教育水準のさらなる向上に向けて、国際化と共に男女共同参画の推進が不可欠である。優れた女性研究者が男性研究者とともに活躍できる環境の整備は、アカデミアがより豊かな知の創造をもって人類社会に貢献するために必須であると同時に、次代を担う若人にとって、魅力あるものとなるであろう。
我々各大学は、男女共同参画社会の実現に向けて、これまで学術分野における男女共同参画の推進のために、様々な意識改革、女性研究者の活用、キャリア継続支援、保育園等の就労環境の整備、次代を担う女子中高校生へのキャリアガイダンス等に意欲的に取り組んできた。また、我が国の政策においても、女性の積極的活用による高度な科学技術研究の発展を目的とした「第3期科学技術基本計画」が平成18年3月に決定され、女性研究者がその能力を最大限に発揮できるように研究と出産・育児等の両立に配慮した制度の拡充、さらに自然科学系全体として女性研究者の採用を25%とする数値目標の設定と、その目標の達成状況の公開など、女性研究者の積極的採用に向けた取組の推進が盛り込まれた。しかし、平成20年4月の内閣府男女共同参画局の「女性参画加速プログラム」で重点的取組が必要と指摘されたように、研究者は依然として「女性の参画が進んでいない分野(公務員、医師、研究者)」の一つである。
我々は高度研究教育機関として、人々の考え方や社会制度のあり方に多大な責任を負っている。同時に、男女共同参画社会の実現のために大学が負っている重大な責務を自覚し、“公正な評価に基づく女性研究者の積極的登用”等を含めた施策に英知を絞り、その実施に向けて真摯に努力する。
アカデミアの自由な発想に基づく研究は多様性を育み、その多様性は優れた財産として、世界中から能力のある将来有望な人々を惹きつけるであろう。斬新な視点、多様な基盤を持つ才能ある人々が集い、それぞれの能力を存分に発揮できる環境においてのみ、知の担い手としてのアカデミアの使命が達成できると信じる。
2008年9月26日
北海道大学総長 佐伯 浩
東北大学総長 井上 明久
東京大学総長 小宮山 宏
名古屋大学総長 平野 眞一
京都大学理事・副学長 松本 紘
(10月1日総長就任予定)
大阪大学総長 鷲田 清一
九州大学理事・副学長 有川 節夫
(10月1日総長就任予定)