副本部長あいさつ
本学では、2006年に女性研究者がさまざまなキャリアおよびライフステージにおいて将来の展望を持って研究に取り組める環境を整備し、人材の多様化・男女共同参画の実現を目指して、女性研究者支援室を開設しました。2019年度には、科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」に選定され、共同機関(3大学・2企業)とともに、北海道の地域活性化に向けて、研究と組織変革をリードするイノベーションコア人材を育成するため、キャリア継続支援や女性リーダー育成・上位職登用に向けた取り組みを行い、着実にその成果をあげてきました。
一方、同時期に、スーパーグローバル事業やテニュアトラック事業等の取り組みにより、外国人研究者や若手研究者の登用が促進され、本学に所属する研究者の年齢、職位、国籍等のバックグラウンドの多様化も著しく進んできました。しかしながら、多様性を包摂し、すべての研究者がその能力を存分に発揮できる環境の実現には至っておりません。このような背景のもと、2020年度には、女性研究者支援室を「ダイバーシティ研究環境推進室」へと名称変更し、女性研究者支援だけではなく“多様性と包摂(ダイバーシティ&インクルージョン)”に関する全学的な課題にも取り組む体制を整えました。また、この「多様性と包摂」は、人権尊重の観点から人間社会の基盤であるのみならず、本学が真に「世界の課題解決に貢献する」ために必須であることから、国際社会に向けて本学の今後の決意を強く発信するために、2021年12月1日、ダイバーシティ&インクルージョン推進を宣言いたしました。2022年4月1日には、バイアスフリーキャンパスの実現に向けて邁進するとともに「教職員の意識改革」、「働き方改革」、「LGBTQ+」、「障害者」、「ダイバーシティ教育(学生)」に対する環境整備なども必要と判断し、総長をトップとした新たな全学的な運営組織の下、「ダイバーシティ・インクルージョン推進本部(DEI推進本部)」を設置いたしました。
2022年4月は、国立大学法人として第4期中期目標期間の新たなスタートのときでもあります。本学の課題は山積みではありますが、ひとりひとりの声に耳を傾け、各当事者の立場に立って理解を深めることに努め、大学としての在りようを皆様とともに考えていきたいと思います。そのうえで、各構成員が、自らの無意識の差別や偏見に気づき、多様性を受容し包摂する豊かな人間性と高い知性を育みながら、その能力を最大限に発揮できる「多様性にひらかれた教育・研究環境」を目指して、より一層ダイバーシティ・インクルージョンの推進に励んでいきます。
どうぞ今後も当本部へのご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
2022年4月1日
北海道大学副理事(ダイバーシティ・インクルージョン担当)
ダイバーシティ・インクルージョン推進本部 副本部長
矢野 理香