第4回記念講演:大学とジェンダー
【日 時】2021年12月22日(水)18:30-20:00
【講演題目】ジェンダー平等を推進し、研究する人生の魅力を高める
【講演者】大沢 真理 東京大学名誉教授
【聞き手】三輪 敦子 一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク共同代表理事
【司 会】長堀 紀子 北海道大学人材育成本部ダイバーシティ研究環境推進室特任教授
はじめに司会の長堀特任教授より、北海道大学の教職員・学生における女性の割合や、職位別女性教員の割合、男女別の教員職階構成といったジェンダーダイバーシティの現状について説明がありました。
つづいて講演者の大沢先生にご登場いただき、大沢先生のご専門である社会政策の比較ジェンダー分析の視点から、日本における社会的投資戦略の脆弱さや人的資本を育むという意識がない日本社会の問題点、コロナ禍が露呈した再分配不正義等についてお話いただきました。
日本では教育機関への支出が低く女性研究者の比率はOECDで最低であり、OJT比率も女性に対して特に低いこと、また社会人の学び直しもOECDで最低である事等、人への投資がおろそかになっている日本の現状を示していただきました。
また社会保障制度の機能強化が進まず貧困は深刻化しており、特に就業するひとり親の貧困率はOECD+インド・中国で日本が最低であるという衝撃的な事実もお話いただきました。
こうした問題は以前からあったがコロナ禍が露呈したものであり、政府は再分配不正義を是正し、また大学や企業も女性を腐らせていないか点検して是正すべきとお話いただきました。
三輪様が加わり、人的資源をどう育むか、ジェンダー平等について日本が変わるための大学の役割といったテーマで討論していただきました。また女子学生・研究者を育てる際に必要な事を問われ、女性は学業・仕事の進捗や達成について褒められる事があまり無いので、とにかく良いところを見つけて褒めるのが大事との大沢先生のお答えが印象的でした。視聴者からも多くの質問が寄せられ、時間の許す限りお答えいただきました。
大沢真理先生、三輪敦子様、そして視聴者の皆様、誠にありがとうございました。
D&I推進宣言制定記念講演会閉会式
【日 時】2021年12月22日(水)20:00-20:10
【閉会の辞】矢野 理香 北海道大学人材育成本部ダイバーシティ研究環境推進室長
第4回講演に引き続いて閉会式が行われ、矢野 理香 北海道大学人材育成本部ダイバーシティ研究環境推進室長が閉会の辞を述べました。
まずこの全4回の連続講演会で、教職員・学生、また学内外問わず延べ828名(そのうち学生191名)より参加申込があり、関心の高いテーマであることが伺えたと紹介されました。
第1回でご講演いただいたサコ学長が北海道大学はこれをファッションで終わらせてはいけないとおっしゃっていたように、北海道大学が試されるのはこれからであり、明日の未来を作り上げる学生と共にダイバーシティを具現化していきたいと抱負を語りました。
中でも当事者の声を聴く事が重要であり、安心して声を出していける環境をつくりあげ、共に学び合える場と機会を作っていくため、推進室としても一丸となって努力していきたいと力強く語りました。
最後に講演会に参加していただいた皆さま、ご協力いただいた皆さまに謝意を述べられ、閉会となりました。