活動報告

メインビジュアル画像 メインビジュアル画像

【部局取組支援】「フィールドワークと性暴力・セクシュアルハラスメント:実態調査アンケートの結果報告(第一報)と今後の展望」開催報告

2024年12月20日、共同研究グループHarassment in Fieldwork(HiF)主催のセミナー「フィールドワークと性暴力・セクシュアルハラスメント:実態調査アンケートの結果報告(第一報)と今後の展望」が開催されました。
本セミナーは、「ダイバーシティ・インクルージョン推進に向けた部局等による取組支援プログラム」により実施されました。
 
以下、レポートをご紹介させていただきます。
 
++++++++++++++++++++++++++
本セミナーは、フィールドワークにおける性暴力やセクシュアルハラスメントについての認識を高める機会を提供したと考える。質疑応答・ディスカッションでは、参加者から、アンケート結果を聞いて感じた率直なコメントや、有益な情報の提供、このテーマを考える上で重要と考えられる指摘など、活発な議論が行われた。
例えば、これからフィールドワークをするという学生からは、アンケートの結果を聞いて、自身の調査者としての脆弱性を危惧し、不安の声があがった。しかし、同時に、このような調査結果を前もって知れたことで「心の準備」ができたというコメントや、性暴力を受けた人に寄り添おうとしている共同研究グループの存在を心強く感じたというコメントも受けた。
また、参加者のひとりからは、台湾における性別やセクシュアリティに関係なく、平等に研究活動に参加できる環境を整えようとする取り組みについての情報提供があったため、(対策や対応方法に興味のある)参加者にとっては有益な情報交換の場ともなった。
さらに、フィールドワーカーの間では、フィールドでのトラブルに遭ったことを「武勇伝」として語る慣習がまだ残っているという話で盛り上がった。このような慣習が存在するため、アカデミアでは、「危険を回避できなかったこと」や「性暴力に遭ったこと」を隠すという土壌が醸成・温存されてきたのではないかという指摘があった。このような「フィールドワーク規範」が存在しているとするのであれば、学術界で、多様な文化的・社会的・言語的背景を背負った研究者が行う多様なフィールドワークが受容されていないといえるかもしれない。
本セミナーにはベテラン教員・研究者から、まだ調査を準備している段階の修士学生まで、様々な段階の研究者が集った。本セミナーは、参加者に、上述のような「フィールドワーク規範」を見直し、自分自身のフィールドワークへの向き合い方だけでなく、指導学生に対しても自らのリスク回避の失敗談や、当事者としての経験(あるいは当事者となる寸前だったヒヤリ・ハット)の共有をすることの重要性を伝えられたと推察する。


++++++++++++++++++++++++++

DEI推進本部では、「ダイバーシティ・インクルージョン推進に向けた部局等による取組支援プログラム」として、北海道大学の各部局が企画・主催するダイバーシティ推進に関する研修やセミナーの開催費用を支援しています。