2022年7月20日・27日・8月3日、メディア・コミュニケーション研究院主催「BBLセミナー:ダイバーシティとインクルージョン 海外と日本を比較して」がオンラインで開催されました。
本セミナーは、「ダイバーシティ・インクルージョン推進に向けた部局等による取組支援プログラム」による、メディア・コミュニケーション研究院に対する支援により実施されました。
以下、レポートをご紹介させていただきます。
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本プログラムは、ダイバーシティ・インクルージョンというテーマで海外と日本を比較して、1)日本特有の論点、課題はあるか、2)海外の大学での取り組みを活かして北大で何ができるか、3)各国の異なる多様性やインクルージョンのあり方から私たちは何が学べるか-を目的に、3回のオンラインセミナー(Brown Bag Lunch (BBL)ミーティング)を開催した。
まず、ジール先生から、ドイツの大学におけるDEIの取り組み、また今回のBBLのオープニングということで、DEIに関する理論的、学術的な講演もいただいた。4つのレベルの多様性(1: 個性、 2: 内的側面 — 年齢、性別、性的指向、身体能力、民族性、人種状態、3: 外的側面 — 地理的位置、収入、個人の習慣、レクリエーションの習慣、宗教、学歴、職歴、外見、子供の有無、婚姻状況、4: 組織の側面 — 機能レベル、作業内容分野、部門/ユニット/グループ、年功序列、勤務地、組合所属等)があることが紹介され、大学組織としてのDEIの推進を考える上で、その前段階の1−3をどう把握、考慮すべきかを学んだ。図を使ってわかりやすく、DEIというテーマを整理する上で大変有益な講演となった。その次に、ドイツの大学における理系のDEI推進に関して講演いただいた。「DEIはロジスティックの問題である。」とおっしゃったのは印象的である。例えば、ラボで、車椅子使用者も同じように化学の実験ができるように机の高さを工夫したり、購入する機材を考えたりすることが大切である。とても具体的かつ実用的な考え方で、本学でも理系だけでなく、さまざまな職場環境で応用できるキャッチフレーズだと感じた。
次にクラマー先生から、インドのDEIをテーマに講演いただいた。インドの階級社会を例にした、必ずしもDEIという概念を社会に浸透させることが人々の幸せに繋がるわけではないというメッセージが議論の的となった。お互いの生活レベルや置かれた環境の差、差別があること自体を知らない方が、それぞれの隔たれた社会で生活する人々の幸せにつながるのではないかという考え方は、インドのような明らかな階級による差別がないと考えられがちな日本社会でも議論すべきだと感じた。
最後にチェルベッリ先生から、『OTAKU(オタク)』を例に日本とヨーロッパのDEIを考える講演をいただいた。オタクというカテゴリーを作ることで、自分は「普通」なんだという安心を作るプロセスや、日本でオタクという概念が生まれた背景などを学んだ。
これらの講演をきっかけに本セミナーでは参加者たちが自己紹介を行い、自身の経験を話し合う交流会を行った。交流会ではランダムに組まれた5、6人のグループで行われたが、交流時間が限られているために、物足りないと感じる参加者も数多く見られた。報告者は、希望者がいつでも連絡を取れる場所をコミュニケーションツール Slack を利用し提供した。今後もこの企画を通して繋がった人たちと交流する場を定期的に活用していきたい。
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DEI推進本部では、「ダイバーシティ・インクルージョン推進に向けた部局等による取組支援プログラム」として、北海道大学の各部局が企画・主催するダイバーシティ推進に関する研修やセミナーの開催費用を支援しています(今年度の募集は終了いたしました)。
次年度につきましては、決まり次第Webサイトでお知らせいたします。