活動報告

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【部局取組支援】文学研究院 公開シンポジウム「トランスジェンダーと医療」開催報告

2024年10月12日に文学研究院応用倫理・応用哲学研究教育センター主催の公開シンポジウム「トランスジェンダーと医療」が開催されました。
本シンポジウムは「ダイバーシティ・インクルージョン推進に向けた部局等による取組支援プログラム」の支援を受けて実施されました。
 
以下、レポートを紹介させていただきます。
 
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本シンポジウムではトランスジェンダーの当事者でもある哲学の専門家と、フランスの生命倫理に関する専門家からの講演、さらにLGBT当事者でもあるコメンテーターとの質疑応答を通じて、トランスジェンダー当事者のニーズや、当事者が直面している課題について認識を深める場を提供することができました。
本シンポジウムでは「トランスジェンダーと医療」、特に戸籍上の性別変更のための不妊化要件や、トランスジェンダーの方による生殖医療技術利用について、哲学の専門家(群馬大学教員高井ゆと里さん)と生命倫理の専門家(大阪大学教員小門穂さん)によって幅広い観点から議論がなされました。高井ゆと里さんの講演では、「生活する性」という概念が紹介され、日本における「性同一性障害」の治療観が特例法の中にもあることが指摘され、そこには社会防衛という視点が持ち込まれていることが述べられました。また小門穂さんの講演では、フランスの結婚制度・生殖医療の観点から日本のFtM、MtFの方々が直面する問題について論じられました。いずれの講演もトランスジェンダーの当事者が抱える課題と現状を深く掘り下げた内容でした。またお二人の講演に対して、7丁目のパウダールーム店長でさっぽろレインボープライド実行委員の満島てる子さんからのコメントがありました。
本シンポジウムの開催はトランスジェンダーの当事者の方々についての理解と支援が広がる契機となったと思われます。またこのシンポジウムでは従来の性別二元論に基づく枠組みを超えた議論が交わされ、性別に関する固定観念について批判的に検討することができました。
本シンポジウムには、本学の学生や教員のみならず、地域社会からの参加者(医療従事者、道議員、道職員、他大学教員、他大学学生)、さらにオンラインによる全国からの参加もありました。大学内部に留まらない幅広い層に議論を伝えることで、セクシュアリティについての多面的な理解を促し、多様な性自認に基づいて個々人を尊重することの意義が再認識されたと思います。

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