ダイバーシティ研究環境推進室では、「ダイバーシティ研究環境推進に向けた部局等による取組支援プログラム」(2021年度の募集は終了)として、北海道大学の各部局が企画・主催するダイバーシティ推進に関する研修やセミナーの開催費用を支援しています。
この支援により、2021年11月10日・11月17日・11月22日・12月1日に、メディア・コミュニケーション研究院主催「BBLセミナー」がオンラインで開催されました。
セミナーの名称: ブラウンバッグランチミーティング/Brown Bag Lunch (BBL)
あなたの職場は国際化していますか。
-ダイバーシティと大学の国際化に関してあなたの声を聞かせてください-
参加者数:約120名
以下、レポートをご紹介させていただきます。
レポート
本プログラムは、研究者の海外での活動経験が、(1)北海道大学の国際化への環境改善に活かされているかを確認し、(2)改善点や課題を見いだすこと、(3)国際化に関心を抱く関係者間のネットワークを構築することを目的に、比較的参加者の都合が付くと考えられる、昼に3回のオンラインセミナー(Brown Bag Lunch (BBL)ミーティング、Zoom会議)を計画、開催した。
対象は外国人研究者、留学生、日本人学生、一般とした。これは人とのつながりが分断されがちな現在のコロナ渦での外国人職員の家族、そして本セミナーの企画者の一人の所属である北見工業大学の関係者の参加を考慮した為である。
報告者らは「国際化=英語」と考えず、自身の英語レベルに自信は無い外国人、留学生、日本人参加者も募るために、本セミナーの主な使用言語は英語であり、日本語のサポートが有ることを知らせた。
セミナーでは、2名の講師をお願いした。まず、マズル先生(北海道大学高等教育推進機構 助教)が、自身が持つ文化の背景や常識が誤解を生む場合が有ることを、マズル助教が来日した当初に日本で経験したカルチャーショックや豊富な海外での例を参考に講演して頂いた。
次にオーリ先生(千葉大学 講師、New Face of Japan 代表)から、「文化的背景の違うもの同士がどうしたら信頼関係や繋がりを持つ事ができるか?」をテーマにインタビューに答えていただいた。インタビューでは、(1)感情は国境を超えて私たちをつなげる、(2)感情を共有できる場所、環境が繋がりを感じられる社会には必要である、(3)国籍と私たちの文化や価値観とは必ずしも一致しないといった内容を、自身のプロジェクトに参加している人物の具体例を出しながら説明していただいた。
これらの講演をきっかけに本セミナーでは参加者たちが自己紹介を行い、自身の経験を話し合う交流会を行った。交流会ではランダムに組まれた5、6人のグループで行われたが、交流時間が限られているために、物足りないと感じる参加者も数多く見られた。また、報告者らが英語を同時通訳する、そして参加者同士で言語について助け合う場面が見られ、異文化交流への積極的な取り組み方をセミナー中に参加者全員で見いだす場面が見られた。特に同時通訳は海外での経験を持つ研究者によるもので、言語だけで無く、研究者という経験が活かされ、様々な立場の人の意思を伝えた。ある参加者からは、この同時通訳によって本セミナーがより有意義なものとなったとの感想を得た。また、オーリ先生のインタビューは日本語字幕付きで Youtubeで限定公開された。
セミナー後の影響について、参加者より募ったアンケートでは、外国人研究者が仕事面だけで無く、生活面といった情報交換に集まれる場所やネットワークを必要としていることが示された。報告者らは、希望者がいつでも連絡を取れる場所をコミュニケーションツール Slack を利用し提供した。本ツールが今後どのように活用されるかは参加者次第であるが、順調にチームメンバーを増やしている(現在 10 人、開設2日目の12月2日)。また、本セミナーでは約30名の高校生も参加しており、高校生がアメリカ留学の経験をまとめたエッセイを外国人北大職員が好意で添削するという交流が生まれたそうである。これは、本セミナーで初めて出会った高校生と北大職員によって行われたことで、多様な人々の出会いや交流の場の重要性が強く示された。また、希望者らによって、予定には無かった第4回のセミナーも昼の時間に開催された。
以上、本参加型のセミナーを計画することで、約120名という国際化に関心のある人々が集まり、国際化およびネットワーク作りへの関心の強さ、異文化交流への課題を共有した。ミーティングでは、国や言葉を超えた交流や情報交換の場所を求める声がとても強く発せられ、国際化に向けてお互いの文化の背景や共通点を見いだす機会が必要であることが強調された。今後の課題は、報告者らを含めた参加者たちの繋がりを、どのようにみなの希望に寄り添いながら発展させていくかである。